鬼レズはマッハで走るR

見たもの聞いたもの読んだもの食べたもの、ときどき昔話

レズ、レズビアン、ビアンについて~レズビアンをめぐる呼称問題②

 前回は「レズをする」が「女性間性行為をする」とイコールで結ばれてしまっている人がいるということを書きました。こういう意味合いでレズ=いわゆるレズセックスという使い方がいかに女性同性愛者に対して抑圧的に働くか、ということを書こうと思ったのですが、そもそも「レズ」という言葉の意味合いの変遷の歴史を共有しないと先に進めないので基礎講座的なことを書こうと思います。ただし、この辺のことは学術的な定見がいまだないので使用はご注意ください。(というか、このブログを引用してアカデミアの人がなんか言うとそれが定説になるんだと思います。酸っぱい話だな)

 まず、レズビアンですがいろいろある女性同性愛者を指す言葉の中で一番ニュートラルで使いやすい言葉だと思います。辞書に収録されているのもこの言葉かと。これを使えば一時が万事安全というポリティカリーコレクトな言葉、それがレズビアン

 で、レズ。この言葉は含意が多いので割と取り扱いが難しい。使われる場面によってかなりハイコンテクストな使用が多いのでレズビアンの文化をあまり知らないで使うと大惨事になりがち。なんで大惨事になるかといえば、そこにべったりと蔑称として使われてきた歴史があるからです。

 今ではほとんど忘れ去られてしまった1980年の相良直美芸能界追放事件(当時の大スターだった相良直美が「レズ」であるという大スキャンダルがあった。~Wikipediaではレズのレの字も言及ないですね)などレズを蔑称として使う使用例には枚挙にいとまがないのですが、参考文献としてこちらを読んでくれるといいかなと。

ビアン通信 レズ・レズビアン・ビアン(1)

ビアン通信 レズ・レズビアン・ビアン(2)

 ワタシよりちょっと年上の人の感覚が分かると思います。そして、ワタシですが「レズ」をポジティブな含意を持たせて使い始めた世代、だと思います。なんせ「レズビアン」は5文字、「レズ」だと2文字。日常会話で「レズビアン」とイチイチ発話するの面倒だったんですよ、30歳頃のワタシは! とはいえ、2000年ころに当事者が「レズ」を発話するのはまだまだショッキングな時代だった。その辺の周囲の反応についてはこちらを読むと分かると思います。

レズ・ビアン・レズビアン - 押して、押して、押し倒されろ!

 とはいえ、ワタシはいつでも「レズ」を使い倒していたわけではなくて、レズビアンコミュニティに対しての内輪的な話の時には「レズ」を、若干表向きのソーシャルな発話の時には「レズビアン」をとけっこう繊細に使い分けていた気がしますよ。なので、ワタシはソーシャルな場での無神経な「レズ」発言をとがめることがあるのですが、それを「レズという言葉を使っちゃいけないのか!」と反応されると「ああん?」って思いますよ。「場所柄考えろ」という話が何でそうなんのか。……と、少し話が脱線しましたし、「ビアン」について触れられなかったのですが、書く気力が尽きたので今日はこの辺にて。